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ドイツ視察ツアー報告レポート

『菜の花の記』

セルフエナジーハウス研究会 理事
株式会社 本多図夢建築デザイン事務所
本多 図夢

Writings&Photo:Tomu Honda

フランクフルト空港から北へ向うアウトバーンの車窓には、午後の陽射しを浴びた鮮やかな菜の花の黄色と、清々しい新緑の二色に、あたり一面が塗り分けられていました。微風を受けた風力発電機の白い大きな羽がゆっくりと回転しています。

時々、進行方向の左右に教会の棟を中心とした集落が現れます。角度と色が統一された屋根が、廻りの田園風景と相まって、美しい景観をデザインしています。行けども行けどもこのような景色が続いていた事が、今回の旅行で一番印象に残っています。(仕事熱心でなくてすみません)

この様な、あまりにも豊かな自然環境のなかで、どのような『家』のデザインが提案されているか。とても楽しみにして旅程三日目の住宅展示場の見学へ向いました。

外観のデザインは、日本と同じように決まったスタイルというものは無く、各社バラバラ。外付けのブラインド、外観と一緒にデザインされた雨戸やルーバが印象に残っています。今後日本でもこれらの製品はエコハウスの普及と相まって急速に普及すると確信しました。

唯一どのメーカーも揃ってその性能を主張し、模型などを展示してアピールているのが、外壁や屋根等の断熱仕様とその性能でした。外壁の厚みいっぱいに充填した、セルロースや木質系の断熱材が主流です。スイッチコンセントの切り込みや配線などで断熱材を切り欠かないよう、構造壁のから室内側に厚さ60ミリ程度のスタッドを立て、そこに内装用のボードが張られています。

フランクフルトの緯度は北海道より高く、湿度が低い条件なのでそのまま日本に当てはめては語れませんが、これからの地球環境問題を考えると、エネルギーロスの少ない建物の性能が日本でも強く求められる事を、又我々その職にあたっている者が早く社会にアピールしなくてはならない事を今回の旅で実感した次第です。

最後に今回の旅行で、建築や環境問題について、メンバー間の共通認識を得られた事が何よりの収穫であったと思っています。

企画運営にあたられた、セルフエナジーハウス研究会の上野代表に厚くお礼申し上げます。

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